シニアサッカーは重要だ
http://www.asahi.com/sports/column/TKY200909040241.html
今回もスポーツ環境に関する話を続けたい。
僕は若い頃からサッカーをやってきて、今、65歳になっても幸い頑丈だ。僕の奥さんも、小さい頃は片道4キロの山道を歩いて通学していたというから、元気、元気。若い人たちはファッションばかり気にするけど、50歳過ぎてからは元気が一番。いくらスタイルが良くても、寝込んでいたら意味がない。不便だったがゆえに、生活していれば自然と体が鍛えられた一昔前と時代は変わり、今は健康ライフを作ろうと思ったら、スポーツをすることになる。ただ、お金がかかるのは間違いない。
僕は日本サッカー協会副会長時代、2006年から2008年にかけ、シニア委員長を務めていた。シニアは40歳以上、50歳以上、60歳以上、70歳以上のカテゴリーがあり、今は年に一度、それぞれの全国大会も開かれている。
そのシニアの大会を見ていると、昔取った杵柄で、みんなたいしたものだ。その年になってもやっているのは、本当にサッカーが好きだからだろう。30代、40代は働き盛りで仕事が忙しく、サッカーなんかできない年代。50歳を過ぎて職場の第一線からリタイアし、「さあサッカーをしよう」という人々は増える傾向にある。日本協会へのシニア登録が始まった2000年度は、全国で196チーム、4669人だったのが、2008年度は624チーム、1万6555人にまで増えた。実際には草の根でサッカーを楽しんでいるシニア世代が、この何倍もいると考えていい。
だから、シニア世代がサッカーを楽しめる環境を整えなければならない。もちろん、10年前、15年前に比べれば、天然芝にしろ人工芝にしろ、グラウンドが各地にできている。でも、それ以上にサッカーをやる人が増えているから足りないということになるだと思う。グラウンドを作る自治体にしても、大会を運営して補助金を出す日本サッカー協会にしても、まず将来ある子供にお金を出すのは当たり前と考えるから、そっちを念頭に置いた施策が優先になるのはわかる。ただ、今から高齢者のスポーツ環境を作っていかないと、より高齢化が進む中、医療費ばかりかかってしまう。
だからシニア委員長時代、全国大会の参加者には宿泊費として5000円を補助するする制度を作った。総額で年間1000万円前後の支出だが、これまでのシニアの位置づけからすると、「日本サッカー協会も変なところに金を使っているな」と言われかねないほど画期的なことだった。今年9月、静岡県藤枝市で40代の全国大会が開かれる。藤枝市では来年、別の年代の全国大会も開かれる予定になっている。日本の真ん中で全国から集まりやすく、「元祖サッカーの街」でもある。高校サッカーが「国立」を目指すように、藤枝がシニアサッカーの象徴となっていけばいい。
シニアサッカーをもっと大切に考えるべき時代だ。
|